棒鋼製品のうち、鉄筋コンクリート用棒鋼(JISG3112)の異形棒鋼、並びに構造用圧延鋼材(JISG3101)と建築構造用圧延棒鋼(JISG3138)について紹介いたします。
1. 鉄筋コンクリート用異形棒鋼
異形棒鋼の種類と用途
一般に「鉄筋」と呼ばれ、コンクリート補強材として鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造など建築・土木構造物に使われています。その種類と材質、呼び名(径)を表1に示します。
表1:JIS G 3112 異形棒鋼の種類と呼び名
種類の記号 | SD295,SD345,SD390,SD490,SD590A,SD590B,SD685A,SD685B,SD685R,SD785R |
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呼び名(径) | D4,D5,D6,D10,D13,D16,D19,D22,D25,D29,D32,D35,D38,D41,D51 |
電炉鉄筋の品質管理
近年、電炉メーカーは前述の製造工程に示したように製造技術の向上と品質管理意識の向上は目覚ましく、安定した品質の鉄筋が供給されるようになっております。
特に電炉鉄筋は原子力施設や超高層鉄筋コンクリート造など高性能を要求される構造物に使われることが増えており、その使用鉄筋には構造性能に伴った高性能・高品質(高強度・高靱性・太径化など)な材料が要求されるようになってきました。電炉メーカーは、これら要求に対応できる製造技術力や品質保証体制が備わってきております。
今後の動向
建築・土木構造物の高性能化に伴い、要求される材料性能は、以下のとおりです。
- 高強度化:主筋の降伏点強度が490N/mm2、590N/mm2、685N/mm2クラスの材料。
- 降伏点強度の上限値の制限:降伏点強度の上限値を規格降伏点の1.1倍以下とすること。
- 降伏棚の長さ:New-RC用の高強度鉄筋では降伏棚の長さ1.4%以上を要求している。
- 太径化:大型構造物の増加により、高強度かつD35以上の太径鉄筋が使われる。
- 機械式継手:高強度かつ太径鉄筋の接合に継手性能の優れた機械式継手が使われる。
- その他の要求性能としては、極低温性鉄筋、防錆鉄筋などがある。
今後とも、構造物の多様化に伴って特殊な要求性能が生じる可能性があります。それらに応える柔軟な製品開発を行っていく必要があります。
2. 一般構造用圧延鋼材および建築構造用圧延棒鋼
棒鋼の種類と用途
一般構造用圧延鋼材は通常「SS材」、また建築構造用圧延棒鋼は「SNR材」と呼ばれ、その種類、材質、寸法および用途を表2、3の通りです。
表2:JIS G 3101 一般構
種類の記号 | 鋼材の形状 | 適用寸法 |
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SS330 | 鋼板、鋼帯、平鋼及び棒鋼 | - |
SS400 | 鋼板、鋼帯、型鋼、平鋼及び棒鋼 | - |
SS490 | ||
SS490 | 鋼板、鋼帯、型鋼及び平鋼 | 厚さ40mm以下 |
棒鋼 | 径、辺又は対辺距離40mm以下 |
注記:棒鋼にはバーインコイルを含む。
表3:JIS G 3138 建築構造用圧延棒鋼の種類の記号
種類の記号 | 適用径又は対辺距離 |
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SNR400A | 6以上 100以下 |
SNR400A | |
SNR490B |
棒鋼の製造方法と品質管理
一般構造用棒鋼は表面きずが少ないことが要求されることから、鋳片表面のきず取り設備や圧延段階では、良好な表面性状の製品を得るため、加熱炉で生成した一次スケールおよび圧延中に生成する二次スケールを除去するデスケーリングを行ったりしています。
また、建築構造用棒鋼は、その用途から、炭素当量、溶接割れ感受性組成やシャルピー吸収エネルギーなどが要求されており、規定の5元素以外のCu、Ni、Cr、Snなどの抑制を行なっています。
今後の動向
構造用材料に要求される品質特性は、顧客ニーズの多様化により用途や加工条件によっては、JIS規格以上の材料性能を求められることがあります。従って、製造メーカーは顧客ニーズにあった多品種少量の鋼材を経済的に供給できる生産体制を持つことが必要となります。