鉄スクラップを選別・配合・管理・利用する技術を蓄積しています
電炉鋼は、鉄スクラップを原料としています。電炉会社は、電炉工場に集められる鉄スクラップの種類・品質・特性を把握し、これを管理し利用する技術を蓄積しています。
スクラップの品質管理と購入方法(検収方法)は
電炉各社は、普通鋼電炉工業会等で制定した「鉄屑検収規格」によりスクラップを分類し購入しています。
また電炉各社では、それぞれのノウハウに基づいてさらに細分化した規格によりスクラップの購入を行い、品種やグレードごとにスクラップ置場(ヤード)で分類し管理しています。
スクラップの受け入れ検査の際は、検査員がスクラップを納入する車両や船舶に立ち会い、品種やグレードを査定するとともに、非鉄金属類の混入を厳しくチェックし、問題が発見された場合は、返品や選別の処置を行っています。
スクラップの配合
スクラップを電気炉で溶解する際には、品種・等級ごとに置場で分類されたスクラップの配合比率をコントロールして、所定の溶鋼成分になるようにしています。
スクラップ中の特殊元素をコントロールし活かすノウハウを持っています
鉄スクラップは、鉄スクラップ業者により市場で回収される際にも、非金属、非鉄の分類が行われています。それでもスクラップを溶解精錬した後に、銅やクロムのような特殊元素が製品の中に微量残る場合があります。
これらの特殊元素は鋼の強度を上げたり、錆びにくくしたり、反対に脆くしたりと、鋼の性質に色々な影響を与えます。
この性質を大きく利用したのが特殊鋼です。特殊元素をうまく利用すると、より高性能の製品をつくることができます。
電炉各社は、このスクラップの中の特殊元素をコントロールし活かすノウハウを長年培っており、その点を踏まえた工程管理を実施することで、より良い製品品質づくりを実現しています。
利用例
Ni、Cr等の特殊元素を利用し強度を補償、C、Ceqを低く抑え溶接性・靭性を向上、Cu、Cr、Ni などの適量含有により一般鋼材でも耐候性を保有。(*Ceq=炭素当量)