H形鋼とは
H形鋼(写真1)は、主に熱間圧延によって製造される断面形状がH形をした鋼材で、この断面形状により、すぐれた曲げ耐力・座屈耐力を有しています。また、テーパーのない単純な面で構成されているため、簡単な加工(切断・穴あけ等)のみでそのまま使用できるという利点もあります。
  国内では1961年より生産が開始され、これらの利点や需要家のニーズに合った製品を開発してきたことで、圧延鋼材の約9%を占めるようになっています。
用途
  H形鋼は、建築用をはじめ橋梁・機械・車両の構造部材、トンネルの支保工・杭等の土木用と多岐にわたり使用されています。特に建築分野での使用比率は高く、鉄骨構造で使用される鋼材の約70%がH形鋼です。
製造方法
  形鋼製品は、通常孔型ロールで圧延しますが、H形鋼は図1に示すように、中間・仕上げ圧延に、水平ロールと垂直ロールを組み合わせたユニバーサル圧延機と、フランジの末端を形成するエッジャーロールを有した圧延機にて製造します。
品質管理
  電炉メーカー各社では、1992年より普通鋼電炉工業会で自主的に作成した品質管理マニュアルに基づいて、スクラップ原料の配合から、出荷まで標準化された体制のもと、最新鋭の分析・試験設備を使用し品質管理を行っています。
  製品には、図2のように識別ラベル表示を行っています。また、SN規格(JISG3136)には、ウエブ部分にマーキングもしくは端面にマーキングを行っています。
図2 ラベルとウェブマキング・端面マーキングの例
品質特性
近年電炉H形鋼は、電炉炉底出鋼方式や取鍋精錬炉、制御圧延等の最新設備を導入し技術を蓄積することで、機械的性質をはじめ、靭性(衝撃値)、厚板方向(Z方向)における絞り値等の品質を大きく向上させています。